失業保険は自分が扶養に入っていてももらえるのか?

失業保険は自分が扶養に入っていてももらえるのか? 失業保険(雇用保険)の基礎知識
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失業保険は収入がなくなった人のために支給されるものです。では家族の扶養で生活している人には支給されるのでしょうか。

結論から言えば、失業保険は自分が家族の扶養に入っていてももらうことができます。夫や妻、親の扶養に入っていても問題ありません。

ただし、条件が厳しくかなり難しいと言えます。失業保険の受給額によっては扶養から外れてしまう可能性があるからです。

この記事では家族の扶養に入る予定(または入っている)の人が失業保険の手続きを行うときの注意点について解説します。

※解説は、妻(自分)が夫の扶養内で働く場合を想定しています。

そもそも扶養の条件とは?

「扶養内で働く」とはどういう意味なのでしょうか?実は「扶養内で働く」という場合、2種類の意味があります。

一つはよく「103万円の壁」などと呼ばれる「配偶者控除」のことです。年収103万円以下の配偶者がいる場合に税金が軽減されます。103万円を超えると所得税が発生するため、扶養内で働く場合には年収103万円以内に抑えることが推奨されています。
このように「扶養内で働く」とは、税法上のルールである配偶者控除を受けられる範囲で働くことを指している場合がよくあります。

もう一つの意味は、「社会保険上の扶養」のことです。厚生年金および健康保険の扶養の条件は年収130万円を基準としており、130万円を超えると扶養から外れてしまいます。130万円を超えた場合は、自分で社会保険料を負担しなければいけません。

扶養に入ったまま失業保険をもらうには、この「社会保険上の扶養」が焦点になります。

税制上の扶養と社会保険上の扶養

扶養に入ったまま失業保険をもらうには

このように扶養に入ったまま失業保険をもらうためには、年収が130万円未満であることが条件です。夫が扶養者となり、自分がその扶養に入るには健康保険の条件である年収130万円を超えてはいけません。

失業保険も収入と考えられるため、失業保険の受給額が130万円を超えると扶養の範囲を超えます。ですが、失業保険の給付額は90日や120日といった期間です。これだけだと130万円を超えることはなかなか考えられませんが、社会保険上の扶養の計算は「失業保険を1年間もらったと仮定」して年収を計算します。

仮に失業保険の1日あたりの金額(基本手当日額)が、1日5,000円×360日と仮定すると180万円となり、年収130万円は簡単に超えてしまいます。

では、失業保険の受給額がいくらまでなら扶養に入れるのでしょうか。

配偶者控除などの税法上の控除を受けるためには、失業保険は関係ありません。失業保険は非課税のため、その他の収入で控除を受けられるかが決まります。

失業保険をもらいながら扶養に入れるか・入れないかの計算方法

失業保険の場合は1年間を360日として計算します。扶養の範囲130万円の1日あたりの支給額(基本手当日額)は次のようになります。

130万円÷360日=3,611円

つまり1日あたりの失業保険の金額が、3,611円を超えていなければ扶養の範囲ということです。失業保険の受給額は退職前6ヶ月の給与を元に計算されますが、月給に換算すると136,000円ぐらいでオーバーしてしまいます。

正社員でこの金額はまず考えられないので、失業保険をもらいながら扶養に入るのは難しいと言えるでしょう。月給10万円前後で雇用保険に加入していた場合は、可能性があります。

片方しか利用できない場合はどちらを選べばいいのか

金額で結論を出すなら、失業保険をもらった方がお得であると言えます。

失業保険は退職前6ヶ月の給与を元に計算しますが、月に数万円〜十数万円はもらうことができます。失業保険の支給日数は最低でも90日あるので、数十万円になるでしょう。

30歳 退職前6ヶ月間の給与が平均20万円 雇用保険加入期間が3年の場合

基本手当日額:4,880円

90日間の受け取り総額:439,260円

※あくまでも目安の金額です。必ずハローワークで確認してください。

この場合、失業保険を選ぶと3ヶ月で約43万円を受け取ることができます。

一方、扶養に入った場合は、自分で支払うはずであった国民年金と健康保険を支払う必要がなくなるので、その分だけお得になります。合計すると月に約3万円の節約です。3ヶ月で約9万円になりますが、失業保険をもらう方がかなりお得ですね。

しかし、失業保険はすぐに支給されるわけではありません。会社都合退職なら7日間経過後に支給が始まりますが、自己都合退職の場合は3ヶ月の給付制限期間がつきます。

この場合は給付制限期間は扶養に入り、その後失業保険の手続きを行うといいでしょう。時期をずらすことで両方のメリットを受けることができます。

扶養に入っている時の失業保険の入り方

配偶者の会社の健康保険組合によっては、求職期間は扶養に入ることができない場合があります。手続き前に確認してください。

扶養に入るための手続き

扶養に入るためには健康保険組合にて手続きを行ってください。夫の扶養に入る場合は、会社を通じて手続きを行うことになるでしょう。

提出する書類
・被扶養者届
・健康保険被保険者証
・課税証明書など年収を証明できるもの
・住民票などの証明書
・個人番号

※必要な書類は、加入する健康保険組合や扶養者との関係によって異なります。届け出の際にはきちんと確認しましょう。

失業保険の手続き

こちらの記事を参考にしてください。

失業保険の受給中は国保への切り替えを忘れずに

失業保険が1日3,611円を超えている場合は扶養に入ることができないので、国民健康保険に切り替え手続きを行いましょう。日本では、わずかな期間でも無保険の期間があってはいけません。
扶養から外れたらすぐに自治体の窓口へ行きましょう。扶養から外れたその日から手続きが可能です。手続きは14日以内に行ってください。

必要なもの
・被扶養者でなくなった証明書(資格喪失証明書)
・認印
・本人と世帯主のマイナンバー

※国民年金への切り替えも忘れずに行ってください。

1日3,611円の給付額を超えているにもかかわらず、扶養に入る手続きを行うと、不正受給と判断されます。
不正がバレるとさかのぼって保険料や医療費を請求されるおそれがあります。扶養者の勤務先にも迷惑がかかるので絶対にやめておきましょう。今はマイナンバーがあるのですぐにバレてしまいます。

まとめ

失業保険をもらいながら扶養に入ることは不可能ではありませんが、かなり条件が厳しいということについて解説しました。対象となるのは失業保険の1日あたりの給付額が3,611円までです。

そのため失業保険の給付制限がついてしまう自己都合退職の場合は、給付制限期間は扶養に入り、失業保険の給付が始まるときに扶養から外れるようにしましょう。ただし、扶養者の会社の健康保険組合によっては給付制限期間に扶養に入ることを認めない場合もありますので、事前に確認した上で手続きを行ってください。

倒産など会社都合退職の場合は、すぐに失業保険の給付が始まるので基本的に扶養に入る必要はありません。失業保険の給付が扶養の範囲内の場合は、給付を受けながら扶養に入ることができます。
また、就職活動を頑張って再就職先が早く決まった場合は「再就職手当」がもらえる場合もあります。

他にも職業訓練など活用できる制度がたくさんあるので、こちらの記事も参考にしてください。

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