失業保険は働く意欲があるけれど、就職ができていない人の生活を保障するものです。では、失業保険を受給している間にパートやアルバイトで収入を得た場合はどうなるのでしょうか。
この記事では、失業保険をもらう場合のパートやアルバイトの注意点について解説します。
パートやアルバイトをすること自体は問題なし
結論から言えば、「してもOK」です。ただし、いくつかの注意点があります。よく理解せずにパートやアルバイトをしてしまうと、失業保険の減額や停止もありえます。
7日間の待期期間の間は働いてはいけない
ハローワークで求職の申し込みをした後、失業保険の申請をしてから7日間は「待期期間」という期間があり、この期間にパートやアルバイトで収入を得ると待期期間が延長されます。1日働けば1日分、2日働けば2日分支給が遅くなるということです。
会社の倒産など会社都合による退職の場合は、待期期間終了後から失業保険の支給対象日になります。自分で会社を辞めたいと言って辞めた場合は、待期期間からさらに3ヶ月の給付制限期間があり、3ヶ月経過後から支給対象日になります。
パートやアルバイトをする場合は、待期期間が終了してからにしましょう。また、求職の申し込み以前であれば、パートやアルバイトは自由にして問題ありません。
失業認定日に働いたことを報告する必要がある
パートやアルバイトで収入を得た場合はハローワークに報告しなければいけません。
失業保険受給中は「失業認定日」と言って4週間に1回ハローワークへ行き、「失業中である」と認定を受ける必要があります。失業認定日には4週間の間の就職活動や、アルバイトやパートなどで働いたかなどを報告します。報告をした上で失業認定を受けることで失業保険の給付が継続されます。
申告区分は、1日4時間以上の労働をした場合の「就職または就労」と、1日4時間未満の労働である「内職または手伝い」の2つのパターンです。ボランティアでも報告する義務があるので注意してください。
また、意図的に報告しなかったと判断されると不正受給となり、受け取った失業保険の3倍の額を返還する場合もあります。
1日4時間以上働くと支給が先送りになる
失業保険支給中に1日4時間以上働いた場合は、減額されることはありませんが、働いた日数分、支給日が後ろへずれます。1日4時間以上のアルバイトを10日間働いた場合は、10日間支給が先送りになります。
受給できる期間は離職した日から1年ですので、先送りにより受給期間が1年を越えてしまうと支給はされなくなります。
1日4時間未満の場合でも失業保険の支給額が減額されることがある
1日4時間以上の場合は支給が先送りになりますが、1日4時間未満のパート・アルバイトをすると、その収入金額によっては失業保険が減額あるいは支給されなくなる場合があります。
失業保険基本手当の1日の支給額とパート・アルバイトで得た1日あたりの金額の合計が、前職での賃金日額の8割を超えると減額または支給停止されます。
前職の給与との関係もありますが、時給の高い仕事をする際は注意しましょう。
また、次項で解説しますが、金額に関わらず1週間の労働時間が一定時間を超えると雇用保険の加入対象となり、「就職した」と見なされます。
雇用保険の加入が必要なほど働いてはいけない
1週間の労働時間が一定時間を超えると、パートやアルバイトでも雇用保険の加入対象者となります。この状態では「失業中である」とは認定されなくなり、失業保険の支給が停止されます。
1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上引き続き雇用されることが見込まれる場合は、まず間違いなく雇用保険に加入しなければいけません。
失業認定日には働いたことを報告しなければいけませんが、週20時間を超えないように注意しましょう。
また、長期のパート・アルバイトで雇用保険の加入期間が必要なほど働いている場合は、退職後に失業保険の受給ができることがあります。詳しくは次の記事を参考にしてください。
まとめ 失業保険受給中は1日4時間以上週20時間未満がベスト
これらの条件を考えると1日4時間未満働くよりも、1日4時間以上、週20時間未満働いた方がいいでしょう。4時間未満のパート・アルバイトでは支給停止の可能性まであり、リスクが高いですが、4時間以上であれば支給日が先送りになるだけです。労働時間の計算はしっかりと行なっておきましょう。
失業給付受給中にパートやアルバイトで収入を得るなら、就職と見なされない「1日4時間以上、週20時間未満のアルバイト」がベストといえます。
ただし、最終的な判断をするのはハローワークの職員です。担当者によって判断内容が違うことは少なくありませんので、パートやアルバイトを始める前に相談してから決めてください。
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