失業保険(雇用保険)は退職後の生活を支えてくれる大切なものですが、雇用保険の一定の加入期間や、ハローワークから失業の認定を受ける必要があるなど、各種条件があります。この記事では失業保険の受け取り条件・資格について解説します。
失業保険を受け取るには失業認定を受けなければいけない
失業保険は退職した人に自動的に支給されるものではありません。一定の条件を満たした人が、所定の手続きを行い、「失業状態である」という認定をハローワークから受けなければいけません。この認定を「失業認定」といい、失業保険の受給中は4週間に一回失業認定を受ける必要があります。
失業保険の基本手当が支給される条件・資格とは
失業保険が支給されるには次の2つの要件を満たさなければいけません。
1、離職前の2年間に雇用保険の加入期間が12ヶ月(または6ヶ月)以上あること
2、失業状態である、と認定を受けること
それぞれ詳しく見ていきます。
1、退職前の2年間に失業保険(雇用保険)の加入期間が12ヶ月(または6ヶ月)以上あること
失業保険は保険の一種ですから、保険金の受け取りには加入期間(被保険者期間)が必要です。退職前の2年間に12ヶ月以上加入していることが条件です。ただし、倒産や一方的な解雇など、会社都合での退職の場合は、退職前の1年間に6ヶ月の加入期間があれば大丈夫です。
また、加入期間として計算するのは、給与の支払い対象となった日数が11日以上ある月のみを対象とします。例えば10日しか働いていない月は計算しません。
失業保険の加入期間によって受給資格があるパターンとないパターン
自己都合による退職の場合(一般受給資格者)は、次のような計算で失業保険の受給資格の有無が判断されます。加入期間は同一会社に限らず、別の会社の加入期間も通算されます。
会社都合による退職など「特定受給資格者」に該当する場合は、退職前1年間のうち6ヶ月間の雇用保険加入が必要になるので、次のようになります。
2、「失業状態である」と認定を受けること
失業認定を受けるには、現在仕事についていないということだけでなく、積極的に就職しようという気持ちがあることを証明しなければいけません。具体的には、企業へ面接に行った、ハローワークを通じて求人に応募した、といった実績が必要です。ハローワークで求人情報を検索しているだけでは、就職する意思があることの証明にはなりません。
そして、いつでも就職できるという環境や健康状態にあり、就職活動を行っているにも関わらず仕事が見つからない、という状態にあることを「失業状態」と呼んでいます。
失業の3つの要件
失業状態とみなされない場合
病気などですぐに働ける状態にない、あるいは働く意思がない、とみなされる場合は、失業状態ではありませんので、失業保険を受け取ることができません。
- 病気やケガのため、すぐには就職できないとき(労災保険の休業補償または健康保険の傷病手当金などの支給を受けている場合も含む)
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
- 親族の介護などですぐには就職できないとき
- 定年などで退職して、しばらく休養しようと思って失業保険の申請をしたとき
- 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
- 自営業を始めたとき(準備を開始した段階も含む。収入の有無は問わない)
- 税理士・公認会計士・弁護士等の有資格者で、法律によりその業務を行うための登録が義務づけられている場合には、その登録がなされている期間は失業保険を受け取れない
- 新しい仕事についたとき(アルバイトや派遣など就業形態、また収入の有無は問わない)
- 会社・団体の役員に就任したとき。また、現在役員に就任している場合(収入の有無は問わない)
- 学業に専念するとき
- 就職することがほとんど困難な職業や労働条件(賃金・勤務時間等)にこだわり続けるとき
- 夫の扶養家族に入っているなど、失業保険の被保険者とならないような短時間勤務の仕事を希望するとき(就業手当の対象となる場合あり)
まとめ
失業保険の受給資格があり、失業認定を受ければ、失業保険を受け取ることができます。一度失業認定を受けた後にも、失業保険の受給中は4週間に一回ハローワークで手続きを行い、失業認定を受ける必要があります。
また、失業保険の受給期間は失業した日の翌日から1年間です。手続きを行ったからといってすぐに失業保険を受け取ることができるわけではありませんので、退職後は必要な書類を準備して1日でも早くハローワークへ行きましょう。