失業保険は会社都合退職と自己都合退職とで違う?

失業保険は会社都合と自己都合で違う? 失業保険(雇用保険)の基礎知識
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失業保険は複雑な制度であり、様々な条件で給付金額や給付日数が決定されます。中でも「退職理由」は大きなポイントであり、会社都合の退職なのか、それとも自己都合の退職なのかで違いがはっきりと出てきます。ここでは失業保険の給付を受けるにあたって、会社都合と自己都合の違いについて解説します。

あなたの退職は会社都合?自己都合?

退職の理由は人それぞれですが、会社都合なのか自己都合なのかで失業保険の扱いが変わります。ポイントは次の通りです。

会社都合退職の場合

・失業保険を自己都合退職者よりも長く受け取ることができる
・求職の申込みを行ってから約1ヶ月後に支給される

自己都合退職の場合

・支給開始は求職の申込みを行ってから約4ヶ月後になる

このように会社都合退職の方が、失業保険の支給については大きく優遇されています。

失業保険における「会社都合」「自己都合」とはどのような条件?

会社都合退職とは

会社の倒産や業績不振によるリストラ、事業所の移転による通勤困難など、転職活動をする間もなく失業してしまった場合は会社都合退職となります。

自己都合退職とは

転職や結婚、引っ越しなど、自発的な理由による退職の場合は自己都合退職になります。

ただし、自己都合退職でも理由によっては会社都合退職と見なされる場合があるので、必ずハローワークへ確認しましょう。

自己都合退職でも会社都合にできる可能性がある場合

「給与が支払われなかった」「度を超えた時間外労働があった」など、『会社都合に値する正当な理由があった』ことが認められれば、やむなく自己都合として退職した後でも、ハローワークが会社都合と認めるケースがあります。ただし、証拠なくして認められることは難しいでしょう。給与明細書、タイムカードなど客観的な証拠を退職前に集めておきましょう。

失業保険は会社都合でも自己都合でも最初の7日間はもらえない

退職後、ハローワークで手続きしたからといって、すぐには失業保険がもらえません。「待期期間」といって7日間の経過後から失業保険の給付対象となります。待期期間は、ハローワークへ離職票の提出と求職の申込みを行った日を起点として計算し、「失業している日または病気や怪我で働くことができない日」が7日間必要です。7日目の日を待期満了日と言いますが、待期期間が満了するまでは失業保険は支給されません。

また、待期期間を終了するまでの間にアルバイトなどをしてしまうと、待期期間にカウントされず、待期満了日が先送りされます。1日でも早く受け取りたい場合はアルバイトなどを行わないように注意してください。

待期期間のある失業保険の給付期間の違い

会社都合退職と自己都合退職で支給開始時期が大きく異なる

会社都合での退職は、7日間の待期期間後に失業保険を受け取ることができますが、手続きなどを考慮すると、現実的にはハローワークへ求職の申込みを行ってから1ヶ月後になるでしょう。

さらに、自己都合退職の場合は、待期期間経過後から3ヶ月の間は失業保険が支給されません支給されない3ヶ月間のことを「給付制限期間」と言います。自己都合退職で失業保険を受け取れるのは現実的に考えて4ヶ月後になるでしょう。

自己都合退職者の失業保険の受け取りの流れ

給付日数も会社都合退職と自己都合退職で大きく異なる

支給開始時期に加えて、離職理由によって失業保険の給付日数も大きく異なります。失業保険を受けられる最高日数のことを「所定給付日数」と呼びます。以前は、所定給付日数は年齢と雇用保険の被保険者であった期間によって決定されていましたが、現在では離職理由が重視されるようになりました。

会社の倒産や整理解雇(リストラ)による離職者は「特定受給資格者」と呼びますが、特定受給資格者として認定を受けると、例えば雇用保険の加入期間が1年未満でも90日間の給付を受けることができます(一般の受給資格者は1年未満では受けることができない)。

また、病気や怪我、家族の介護など正当な理由のある離職の場合は、「特定理由離職者」として特定受給資格者と同様の所定給付日数となります。

所定給付日数は大きく分けて次の条件で決定されます。

定年退職者離職日の年齢に関係なく、雇用保険の被保険者であった期間により、90日から150日の給付日数となる
自己都合退職者離職日の年齢に関係なく、雇用保険の被保険者であった期間により、90日〜150日の給付日数となる
特定受給資格者および特定理由離職者被保険者であった期間と離職日の年齢により90日から330日の給付日数となる
就職困難者(障害者等の離職者)被保険者であった期間と離職日の年齢により150日から360日の給付日数となる

つまり離職理由や年齢によって、失業保険を受け取れる期間が90日〜360日まで違いが出るというわけです。

お金をもらいながら資格取得や勉強ができる職業訓練校を検討しよう

職業訓練校とは、失業中の人が再就職するための職業訓練を行う施設です。主に「失業保険を受給している求職者」を対象に国や自治体が主体となって運営している訓練・講座のことで、年間30万人に利用されています。テキスト代などはかかりますが、基本的に受講料は無料で、失業保険を受け取りながらスキルや知識の習得、資格取得などができます。

「仕事を探しているけれど、自分に向いている職業が分からない」
「スキルや経験が足りないので不安を抱えている」

といった人にぜひ活用してほしい制度です。受講期間は2ヶ月〜6ヶ月が多く、長い講座では1年間になります。

大きなメリットとして、職業訓練の受講中は失業保険の給付が延長され、合計でもらえる給付金額が増えます。また、自己都合退職の場合は3ヶ月の給付制限期間がありますが、職業訓練を受講すると解除され、すぐに給付を受け取れるようになります。

まとめ

このように失業保険は退職理由で給付開始時期や給付期間に大きく違いがあります。
退職理由は変えられるものではありませんが、病気など一定の理由が認められれば「特定理由離職者」となるので、まずはハローワークで相談してみましょう。
また、会社の都合で一方的に「自己都合」とされてしまった場合も、諦めずに相談してください。

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