失業保険は雇用保険の加入期間によって支給日数が大きく変わります。さらに会社都合での退職や特定の理由による退職の場合は、年齢による支給日数の違いがあります。
この記事では失業保険がもらえる年齢について、雇用保険の加入期間との関係を中心に解説します。
失業保険がもらえる年齢に対する、退職理由と雇用保険の加入期間の影響
まず退職の「理由」で年齢の違いがあります。会社都合の退職は「特定受給資格者」に分類されます。また、セクハラやパワハラなど特定の理由で退職した場合「特定理由離職者」に分類されることがあります(きちんと証拠が必要です)。一方、自己都合や定年退職で退職した場合は「一般受給資格者」となります。
一般受給資格者の場合は、年齢による失業保険の違いはありません。何歳で退職しても退職前の2年間の間に雇用保険の加入期間が1年(12ヶ月)以上必要です。1年未満の場合は失業保険をもらうことができません。また、定年退職者は失業保険の支給対象者ではありません(他の給付金の対象となる場合があります)。
特定受給資格者・特定理由離職者の場合は、30歳未満でも退職前1年間のうち雇用保険の加入期間が6ヶ月以上あれば失業保険をもらうことができます。また、支給期間や支給開始までの日数についても自己都合退職者よりも優遇されます。
また、障害者等の就職が困難な状態にある人は、会社都合の退職と同様に退職前1年間のうち、雇用保険の加入期間が6ヶ月以上あれば、失業保険をもらうことができます。
このように「何歳」という年齢による違いではなく、退職の理由と退職時の年齢、そして雇用保険の加入期間の組み合わせによって失業保険がもらえるかもらえないか、支給日数は何日なのか、といった違いが出てきます。
65歳以上は失業保険の対象者ではなくなる
65歳以上で失業した場合、失業保険はもらうことができません。しかし、代わりに失業保険の基本手当の30日または50日分の一時金「高年齢求職者給付金」が支給されます。
失業保険との大きな違いとして、年金と失業保険は同時に受給できませんが、高年齢求職者給付金は年金をもらいながら受給できます。
注意点として高年齢「求職者」給付金と付いている通り、働く意欲のある人が対象です。年金をもらってあとは悠々自適に暮らしたい、体を壊して働けない、という人は対象外となります。
年齢による失業保険の違いは具体的にどのようになるのか
年齢による支給条件の違いを個別に見てみましょう。
こんな時は退職を待ってみよう
特定受給資格者と特定理由離職者は失業保険の優遇措置を受けることができるため、「退職時の年齢」と「雇用保険の加入期間」が重要になります。
例えば30歳以上と30歳未満が一つの境となっており、雇用保険の加入期間が1年以上ある場合、30歳未満で退職した時と30歳を迎えてから退職した時では支給日数が30日も変わります。
●退職時の年齢の区分
特定受給資格者と特定理由離職者が、年齢の影響を受けるケースを見てみます。
ケース1 雇用保険の加入期間が1年以上5年未満 29歳と30歳の違い
ケース2 雇用保険の加入期間が5年以上10年未満 29歳と30歳の違い
ケース3 雇用保険の加入期間5年以上10年未満 44歳と45歳の違い
ケース2と3の場合、1歳の違いで給付期間が60日も違います。年齢の境に差し掛かっている場合は、退職日を少し遅らせることはできないか、考えてみるのもいいでしょう。
まとめ
自己都合による退職であれば年齢を気にする必要はありませんが、雇用保険の加入期間は要注意です。加入期間1年を迎える前に辞めてしまうと失業保険は受け取れません。退職を考え出したらいつ辞めるのか慎重に判断し、よく分からない場合はハローワークで相談してください。
会社都合による退職の場合は、退職の理由と退職時の年齢、そして雇用保険の加入期間の組み合わせによって失業保険がもらえるかもらえないか、支給日数は何日なのか、といった違いが出てきます。会社都合の場合は退職を遅らせるということは難しいかもしれませんが、自分は失業保険の対象となるのか、在職中に確認しておきましょう。
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