失業した場合、健康保険や税金の支払いなど、会社が行ってくれた手続きを全部自分で行わなければいけなくなります。
この記事では会社を退職することを決意した人が、失業期間に備えてやっておく手続きや、失業中に次の仕事を見つけるまでにやっておく手続きを解説します。
会社を退職する前にやっておくこと
退職する状況は人それぞれですが、すぐに次の仕事が決まっている場合は社会保険の手続きなどほとんどの手続きを再就職先の会社が行ってくれます。ですが失業する場合はすべての手続きを自分で行わなければいけません。必要な手続きを知らないと非常に時間がかかってしまうものもあります。退職前に次のようなことをやっておきましょう。
退職する日が重要なのは、失業保険の給付に大きく影響するからです。雇用保険の加入期間が通常12ヶ月必要なため、入社11ヶ月で退職した場合は受け取れません(倒産など会社都合退職の場合は雇用保険の加入期間は6ヶ月必要)。
また、健康保険の資格喪失日は退職日の翌日になります。在職中の社会保険料は、退職日の翌日が属する月の前月分まで支払われています。
退職時に会社へ返す物・退職後に受け取る物
会社へ返却するもの
会社から受け取るもの
会社から受け取るものは、失業保険の手続きや健康保険、年金の切り替えなどに必要になります。
失業保険をもらう場合は、ハローワークで「求職の申し込み」をする必要があります。離職票1・離職票2と雇用保険被保険者証を持って行きましょう。
社会保険資格喪失等確認通知書と年金手帳は国民健康保険・国民年金に切り替える際に必要になります。
源泉徴収票は、退職した年のうちに再就職しない場合、自分で確定申告をしなければいけないので確定申告の際に提出します。年内に再就職した場合は、会社が手続きを行ってくれるので提出しましょう。
会社をやめる前後に行う手続き
失業保険(雇用保険)を受け取る場合
- 1退職前にしておくこと
- 雇用保険被保険者証を確認する(会社が預かっていたら受け取っておく。紛失している場合は会社を通じて再交付を受けておく)
- 離職後に会社から受け取る離職票の受け取り方法を確認する(会社へ受け取りに行くのか、郵送してもらうのか)
- 2離職日の翌日から10日以内に会社が手続きする
- 雇用保険被保険者資格喪失届、雇用保険被保険者離職証明書を会社がハローワークに提出
- 離職票−1、離職票−2等をハローワークが会社を通じて交付する
- 会社から離職票−1と離職票−2が本人へ渡される
- 3離職票を受け取ったら早めにハローワークへ
失業保険の基本手当(失業給付金)は離職後初めて離職票を持ってハローワークに行き、「求職の申し込み」を行い、失業保険の受給資格者であるという決定を受けた日から一定期間経過後に支給されます。すぐに失業保険を受け取ることができないので、1日も早く手続きを行ってください。
- 4ハローワークで求職の申し込み手続き
- 「失業状態の確認について」というアンケートに記入する
- 「求職票」に就職についての希望などを記入する
- 必要書類と合わせて提出し、順番がきたら職員に呼ばれて受給資格を決定する面接を受け、「受給資格者のしおり」などを受け取る。これで受給資格が決定される。
手続きに必要なもの
- 離職票−1
- 離職票−2
- マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、マイナンバーが記載された住民票等のマイナンバー確認書類
- 運転免許証、写真付きマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 印鑑(認印)
- 写真2枚
- 本人名義の普通預金通帳
- 5雇用保険説明会
指定された日にハローワークへ行き、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書などを受け取ります。
※説明会は次の「7日間の待期期間」後になる場合もあります。
- 67日間の待期期間
受給資格の決定を受けた日から、失業の状態が7日間経過するまでを「待期期間」といい、この間は失業保険の支給対象となりません。アルバイトなどをした場合は、その日数分だけ先送りになるので注意が必要です。
- (対象者)3ヶ月の給付制限期間
自己都合や懲戒解雇で退職した場合は、さらに3ヶ月間の「給付制限期間」がつきます。この3ヶ月間は失業保険は支給されません。
- 7失業の認定
指定された日にハローワークへ行き、失業の認定を受けます。雇用保険受給資格者証、失業認定申告書などを提出します。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 受給資格者のしおり
- 印鑑(認印)
- 8最初の基本手当の支払い
失業の認定を受けると、待機期間の終了から失業の認定日の前日までの日数分は基本手当を受け取ることができます。銀行口座への振り込みになるので、おおむね1週間程度かかると考えておきましょう。
- 9以降4週間ごと
4週間に一度ハローワークへ行き、次回の認定を受ける必要があります。行けないと失業保険をもらえなくなるので、行けない理由がある場合は必ずハローワークへ連絡して指示を受けましょう。
国民健康保険への切り替え手続き
退職後は国民健康保険か、健康保険の任意継続かどちらかを選ぶことになります。健康保険の任意継続は退職前の健康保険を引き継ぎできる制度で、多くの場合において国民健康保険よりもメリットがあります。ただし任意継続は2年間しか使えず、一度でも保険料の支払いが遅れると自動的に国民健康保険に切り替わるので注意しましょう。
国民年金への切り替え手続き
国民年金への切り替えは、扶養している家族がいる場合は家族の分も手続きが必要です。
年金手帳を会社に預けている場合は返却してもらいましょう。もしも紛失してしまった場合は、会社を通じて年金事務所から再交付してもらう必要があります。
60歳未満の人の場合
離職日の翌日以降(14日以内)に年金事務所へ行き、国民年金の種別変更届け出を行いましょう。60歳未満の扶養している家族についても同様の手続きを行ってください。
年金を請求できる年齢に達した人の場合
公的年金の受給年齢は原則65歳となっています。以前は60歳から支給されていた厚生年金は、現在、支給年齢が段階的に引き上げられ、昭和36年4月2日以降生まれの男性、昭和41年4月2日以降生まれの女性は全額、65歳からの支給となっています。
年金を請求できる年齢になっている場合は、近くの年金事務所で請求手続きを行ってください。請求から1ヶ月後に年金裁定通知書、年金証書が送られてきて偶数月に年金が振り込まれるようになります。
税金の手続き
退職して収入がなくなっても税金は支払わなければいけません。所得税は収入がない場合は納付する必要はなくなりますが、住民税は前年の所得に対して支払いが必要です。前年が会社員で収入が多かった場合、住民税の支払いも大きくなるので蓄えはしっかりと残しておきましょう。
退職した会社からは源泉徴収票を必ずもらっておきましょう。自分で確定申告をする場合や再就職先で年末調整を行う場合に必要になります。
他には社会保険料の領収書、生命保険・損害保険料の控除証明書、医療費控除を受ける場合は医療費の領収書などを集めておきましょう。これらがなければ税金の控除を受けることができないので、税金の支払いが大きくなります。
退職前にぜひやっておきたいこと
会社員は社会的な信用があり、ローンを組むことやクレジットカードの作成など簡単にできます。ですが無職になると社会的な信用がなくなり非常に難しくなるため、必ず退職前にやっておきましょう。
健康診断も国民健康保険より健康保険組合の健康保険の方が補助制度など充実している場合が多くあります。健康診断や病気の治療などできる限り在職中に済ませておく方が経済的にも楽に済みます。
転職の際に職務経歴書が必要になるので、自分のキャリア(経歴)についても在職中にある程度まとめておくといいでしょう。
まとめ
退職後はすぐに再就職するのか、しないのかで必要な手続きが大きく変わります。仕事がなかなか見つからない場合も考えられます。失業期間にやらなければいけない手続きはどんなものがあるのか、退職する前にやっておくといいでしょう。
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